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第三部『銀月、還る』
ツキノワ 第41話「器の記憶」
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導師が再びショウたちの前に現れたのは、それから数日後のことだった。今度は、記録者も共にいた。
「マニャと、器という言葉の意味を、お話しします」
導師の声に、ショウは思わず身を固くした。何百年も前、南の遺跡の貯蔵所で目覚めた朝の記憶が、不意に胸の奥から浮き上がった。
◆
「神話の時代、あの百体の魂の欠片を宿すために作られた種族——それが、マニャです」
その一言に、ショウは息を止めた。貯蔵所に並んでいた、夥しい数の同胞。あの光景の意味が、初めて、はっきりとした形を持った。
「宿すため、というのは」
「魂は、そのままでは地上に留まれません。宿るべき器が必要でした。マニャという種族そのものが、そのために用意された存在だったのです」
◆
「では、俺の……」
ショウが言葉を詰まらせると、導師は静かに頷いた。
「あなたの魂も、そのうちの一つです。詳しい経緯は、また別の日に。……ですが、これだけは、今お伝えしておきたい」
導師は、ショウを真っ直ぐに見つめた。
「あなたは、器として作られた種族の中でも、特別な役目を負った魂です」
その一言の重みに、ショウはどう応えればいいのか分からなかった。
◆
「特別な役目、とは」
「それも、いずれ。……順序を、どうか許してください」
記録者が、その隣で静かに頭を下げた。
「一度に全てを受け止めれば、心が壊れてしまうこともあります。私どもは、それを避けたいだけです」
その言葉に込められた気遣いは、確かに感じられた。それでも、ショウの中には、答えに近づくほど強まる、ざわついた予感があった。
貯蔵所の光景、水鏡に映った最初の器の顔、そして自分自身の魂——ばらばらだった記憶の欠片が、少しずつ、一つの物語として繋がり始めていた。